高潮・津波バリアー研究会とは、津波漂流物で失われる大勢の命と財産を救うために漂流物を捕捉する装置や避難する装置を研究する港湾土木、建設資材、鋼構造の専門家からなる異業種研究集団です。

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会長挨拶

古来より津波・高潮災害に悩まされてきた我が国沿岸域においては堤防、防波堤等の建設による直接的浸水対策に第一義的に重きを置いて港湾・海岸構造物の整備を行ってきました。最近の東日本大震災のように、これまでの数百年に一度程度の災害に備えてきた想定範囲を大きく超えるような災害にも対応が迫られるようになったこと、また、気候変動の影響と考えられる異常集中豪雨による冠水災害などにも備えが必要とされるようになったことなどから、一層の津波・高潮・冠水対策の充実が求められています。

特に、最近の津波・高潮被害に関しては、津波・高潮による直接的浸水被害はもとより、それに伴う家屋、車、危険物タンクなどの漂流物による二次的な災害が被害を拡大させ、またこれらが復旧・復興の大きな妨げとなることが明らかになってきました。平成30年9月に発生した台風21号による過去最大級の高潮によりコンテナや車両などが大量に流出し、関西地区に甚大な被害が生じたことは記憶に新しいところであります。

背後の港湾機能、都市機能を災害時にも保全し、被害からの早急な機能回復を図る「港湾BCP」などの取り組みを進める上でも、漂流物が広域に散逸しないようにすることが極めて重要になります。

日本の港湾では、海岸保全施設より海側の堤外地に物流機能が集中しており、経済活動の中枢である三大湾では、臨港地区の約8割以上が堤外地となっています。このため、高潮被害により、港湾物流ネットワークや産業活動が停滞するリスクがあり、国土交通省港湾局では、平成30年3月に「港湾の堤外地等における高潮リスク低減方策ガイドライン」を策定し、関係行政機関や企業等と連携して港湾における高潮対策の取組を開始しており、私どももお役に立てるのではないかと考えております。

高潮・津波バリアー研究会は、「津波、高潮などで発生する漂流物から、出来るだけ多くの人命と財産を守るために、漂流物を捕捉する装置や避難する装置」などを研究する港湾土木、建設資材、鋼構造などの専門家からなる異業種研究集団であり、平成18年3月に活動を開始し、津波・高潮災害防止への一助となるべく、本技術の特徴などを関係各所にご案内差し上げてまいりました。おかげさまで採用いただく機会が増えてきており、先の東日本大震災に伴う津波でも、北海道のえりも港などに設置した津波バリアーが漁船や軽自動車を現実に捕捉し、減災に役立つことが実証されました。

私どもは、このような最近の津波・高潮災害による教訓を糧に、防災事業関係の皆様や漁業などの水域利用者の方々のご意見やアドヴァイスをいただきながら、よりよい防災・減災技術の開発に努めて参る所存ですので、今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

なお、当研究会は、本技術による計画や実施に関する質問、ご要望にお答えできるように、研究会事務局を相談窓口として、皆様のご期待に応じられるような体制をとっておりますので、ご利用いただければと存じます。

平成30年9月

高潮・津波バリアー研究会
会長 山口 清一